黒ボク土とは

黒ボク土壌とは何か?なぜ黒ボクで育てた野菜が美味しいのか?

黒ボク土とは

このサイトの名前についている「くろぼく」とはどういうものか、ご存知ですか。

黒ボクは火山砕屑物(テフラ)という火山灰など、火山が噴火した時に吐き出された物質が積もって出来た土が基になっています。日本は火山国ですから、多くの地域にこのテフラが存在します。ただし、火山灰土だけでは黒ボクにはならないので、黒ボク土のある地域はもう少し狭い範囲になります。鳥取県では大山(だいせん)を中心とした西北部に多く分布していて、県の面積のおよそ16%(耕作地面積では26.4%)くらいを黒ボク土壌が占めています。

黒ボクという土壌は日本では割と多くの地域で見られるのですが、世界では非常に珍しい土です。世界にも黒ボクの基となるテフラを噴出する火山地帯は存在するのですが、日本の黒ボクのように、真っ黒な土にはならなくて、多くが赤褐色の土なので、日本に来て初めて黒ボクを目にする地質学者さんたちは土の黒さに驚かれます。

土が黒い理由

黒ボクの黒い物質の正体は難分解性の腐植です。腐植とは簡単にいうと土の中で動植物が微生物によって分解された有機物のことです。黒い色が濃いのはこの腐植(=有機物)の含まれている量が多いということです。そして腐植の多い土壌は「地力が高い土」ということになるので、農作物を育てるに理想的な土ということになります。

理想的な土

更に、黒ボク土壌は、もうひとつ理想的な土の条件を持っています。

多くの農作物にとって理想的な土というのは団粒構造をした土です。団粒構造をした土とは保水性と排水性という相反する性質を持った土のことです。ちょっとムズかしいですね。

保水性があるというのは「水持ちが良い」という意味で、雨が降ったあとなどに土が一定量の水分を一定期間保持する性質をいいます。排水性があるというのは「水はけが良い」という意味で、余分な水を排出する性質のことです。

保水性が高すぎる(=排水性が低い)といつまでも水を含んでいて過湿状態になりますし排水性が高すぎる(=保水性が低い)と土壌がすぐに乾いてしまって乾燥状態になります。過湿状態では病気が出たり腐ったりしますし、乾燥状態でもやはり病気が出たり枯れたりします。

つまり、作物が健康に育つためには適度な保水性と適度な排水性を併せ持った土(=団粒構造をした土)が理想なのです。そして、黒ボク土壌は多くの場合、この団粒構造をした土なのです。

黒ボクの欠点

こんな理想的な黒ボクですが、非常に深刻な欠点を持っています。

今では黒ボクの畑というと作物の育ちの良い豊かな畑になったのですが、実は長い間黒ボクの田畑は作物の育ちが悪いサイアクな条件の畑だと認識されていたのです。

続きは次回で。

2011.02.22