有機栽培とは

有機栽培って聞いたことはあるけど、実際はどんな農業なのか。

有機栽培とは(3)

これまで、法律と歴史的側面、有機栽培生産者のタイプ別に「有機農業とは何か」を見てきました。私が冒頭で「有機栽培とは何か?」に対する答えが「生産者の数だけ答えがある」と言った真意をお伝えすることができたでしょうか。

今回は、私にとっての(理想とする)有機栽培について書いてみたいと思います。そして、これが「有機栽培とは何か?」に対する、私の回答です。くどいようですが、他の生産者さんは別の回答をされる可能性がありますので、念のため。

私の理想とする有機農業のカタチ

簡単に言うと、農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術を使わないのではなく使う必要の無い農業です。

もう少し具体的に言えば、「病害虫がほぼ発生すること無く、農作物が健康に育つ環境を、経験やカンといった再現性の低い方法ではなく、土壌診断と診断結果に基づいた適正な施肥設計による再現性のある手段で造り上げることを可能にする科学的な農業」です。まだ、抽象的でしょうか?

温故知新

歴史的経緯でも見てきたように、有機農業は定義されてからまだ40年しか経っていない、意外なほど新しい農業のカタチです。後発であるが故に、それまでの農業の欠点を克服して、利点を取り入れたものでなければ意味がありません。

近代農業は経済性(ゆえに効率性)を重視して、収量を上げることにこだわった結果、土壌という最も大切な環境(生態系)を破壊してしまいました。20〜30年の短いスパンで見れば効率的に見えるかもしれませんが、もっと長いスパンで見ると様々なひずみが出て来ることも明らかになりました。

「環境保全型」とか「持続可能な」というと、キレイごとのように取られる方もいるかとは思いますが、長い目で見れば結局はそれが自分(だけではなく、子や孫)にとっての利益になるということに気づくべきではないでしょうか。

最後に

消費者の方が望まれる「有機農業とは」の答えは「有機栽培」とか「無農薬」とかいうラベルでなく、消費者と生産者とのコミュニケーションの中にあると思います。

市場経済によって乖離された生産者と消費者の距離をもう一度縮めることこそ、これからの時代に必要だと感じています。その手段として、インターネットやケータイだって有りだと思います。でもやっぱり、子供の頃に見ていた、米子市でマリア園の横の(旧)生協に続く道沿いに並んでいた、野菜を積んだリヤカーの列とその朝市の風景をこそ、理想だと考える自分がいます。最後はローカルネタでスミマセンが。^^;)))

2010.12.01